2013年11月24日日曜日

レクサスRCのFスポ専用シート

  レクサスの良いところは、いい意味で「何でもできる」ところです。豊富な資金力を持つ世界のトヨタのアンテナブランドとして、その気になればフェラーリだろうがポルシェだろうが相手のフィールドで追いつめることができるくらいの自負は持っているのでしょう。だけれども1500万円でフェラーリに匹敵する12気筒ミッドシップを発売したところで、フェラーリにとっては痛くも痒くもないどころか、スーパーカーにより目が向けられるようになり、注文がさらに殺到し余計に手に入りにくくなるだけのようです。

  そしてそんなクルマを作ったところで大赤字が目に見えています。NSXだってヴェイロンだって宣伝費だと考えなければ大赤字でしかないわけです。そんな一発逆転の社運的企画をナンバー1企業のトヨタが率先してやる意味はほとんどないですし、逆にトヨタを追うVW(ヴェイロン)、ホンダ(NSX)、日産(GT-R)にとってはそれなりに意味があることなのでしょうけども・・・。

  カネはあるけどやる事(アイディア)がないといったところでしょうか・・・。それでも 日本からSクラスを追っ払ったし、最高級Cセグハッチバックが世界中でなかなか景気良く売れているし、やる事はしっかりやっています。そして現在遂行中のミッションがDセグのスポーティセダン/クーペ、つまりISとRCをクラス標準の地位に押し上げられるかということで、なかなか細かいところを気にしているようです。

  トヨタもレクサスも業界全体で言えば「最大多数の最大幸福」をモットウとしているので、下手くそが運転してもカックンブレーキにはなりずらく、ブレーキからカスも出にくいし、フロントガラスも汚れにくいし(地味ですがいい素材使ってます)、良い点を挙げればキリがないというくらいです。トヨタに慣れちゃってからVWに乗るとそれなりに違和感が出てきますし、スバルやマツダを上手く走らせるには相当なリハビリが必要になります。しかしやっとマツダに慣れてきた私が久々にトヨタ車に乗ると、これまた不思議で最初から上手くコントロールできてしまいます。

  そんな「素晴らしい」トヨタ車(レクサス車)なのですが、一方では批判もいろいろあるようです。そのほとんどは「錯覚」とか「ボケ」とかの類いだったりするのですが、ややまともな意見を要約するとトヨタ車が素晴らし過ぎて「ダルい」ということのようです。世界のどこよりも安全で快適な日本を「退屈」と言ってしまう人間の愚かな「ルーティン」なんて放っておけばいい気もします。そんなへそ曲がりはポルシェとかアルファロメオでも買って過酷な現実に直面すれば、トヨタの良さも少しは分かるんじゃないでしょうか・・・。

  それでもサービス精神旺盛なトヨタは、素材メーカー(系列ですが)の言い分に素直に従って、なかなか”過酷”なシートを作ってきました。レクサスRCのFスポに標準装備されるシートらしいですが、これがまた見るからに座面が「小さい」のです。なんで高級車なのにコクピットに固めワザを決められながら座らなきゃなんないの?という素朴な疑問がふつふつと湧いてきます。

  どうやらトヨタは86のシートポジションに味をしめたらしく、同じようなドラポジをレクサスに持ち込んでくるようです。ちょっと大げさですがミゾオチにすっぽりハマりそうな位置にハンドルがあって。平和ボケ(失礼!)な皆様にはこういう「オモチャ」にゾクゾク来ちゃうのでしょうか?こんな体勢で500kmを5時間ドライブなんて想像するだけで・・・。よく幹線道路でサイドバイサイドになる86のドライバーの顔が圧迫感で蒼白気味になっていたりしますが、今回はシートは86よりもさらに「オモチャ」感を増していて「拘束具」といっていいかもしれません。

  結局のところ非トヨタ的な要素はどれも「オモチャ」的な要素に通じるのかもしれません。「これがレクサスの新しいシートです!ぜひ座ってみてください!」と言われて、これは80%サイズの"レプリカ"だと思ったので、からかわれているのかと思いましたよ・・・。見た目はちょっと上等なゲームセンターのアーケードマシンです。とりあえず座ってみたら座れないこともないですし、座った印象はというと座面の硬さがさっきまで乗ってたマツダ車と同じくらいで、シートをより小さく見せているサイドのサポートの高さはマツダの比ではなく、その点がまさに「固めワザ」でした。説明によるとウレタン素材だけでサポートを成形している工法が世界初なんだそうです。

  エボX標準のようなレカーロ製の芯のある硬質なハードサポートと比べて、人間工学的に優れたシートのようですが、その結果がやや圧迫感が強い「マツダ」というわけでしょうか? たしかにマツダシートでは、ちょっと峠でやんちゃをするとドライビングポジションは左右に±2cmほどはズルズルいってしまうので、もしかしたらこのレクサスのシートなら!?という期待感はあります。となると肝心なのはレクサスRC(Fスポ)の車重がどれくらいのところに収まるのかは興味深いですね。350と300hで1500kg前後ならば・・・。


  ↓実用車に飽き足らず「オモチャ」まで作り始める完璧主義者です。